身体組成・骨密度・血管年齢の測定「あなたの身体、覗いてみませんか?」

1. 目的

生活習慣病の予防・改善を行うにあたり、第一に食生活の改善に注目が集まりがちであるが、自身の身体組成、骨、血管状態の現状と問題点を把握することが最重要である。本企画の目的は、測定を行うことによりご自身の身体状態の問題点を理解していただき、来場者の方々の健康に貢献することである。

また、身体測定会場には管理栄養学科の学生(3・4年次生)が、測定結果に関して来場者に丁寧な説明を行うための個別相談ブースを設ける。個別相談を実施することで、栄養学の知識のない一般の方々への知識伝達技術や、質疑応答を繰り返すことによる専門知識の習熟など、学生にとっての教育効果も大きいと考えている。

2. 対象者

身体組成、骨密度、血管年齢の測定が可能な来場者(6歳〜100歳)

3. 実施者

東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 助教 矢島克彦
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 教授 髙橋祥子
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 教授 橋場直彦
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 講師 大塚静子
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 学生 3・4年次生

4. 実施期間

27年11月7日(土)〜8日(日)『聖栄葛飾祭』期間

5. 企画内容

本企画は測定項目(1)、(2)、(3)、測定結果説明、及び来場者用アンケート記入によって構成される。また、本企画の教育効果を確認するため、参加学生を対象に目標達成度アンケートも実施した。

5-1. 測定項目(1) 体組成測定(In Body430:株式会社Biospace)

資料1.体組成測定結果表

写真1.体組成測定風景

5-2. 測定項目(2) 骨密度(AOS-100NW:ALOKA)

資料2.骨密度測定結果表

写真2.骨密度測定風景

5-3. 測定項目(3) 血管年齢(メディカルアナライザー:株式会社ピーテック)

資料3.血管年齢測定結果表

写真3.血管年齢測定風景

5-4. 測定結果説明(個別相談ブース)

写真4.測定結果説明風景

5-5. 来場者用アンケート

5-6. 学生用目標達成度アンケート

6. 実施内容報告

(1)来場者数

11月7日(土) 242名
11月8日(日) 290名
2日間合計 532名

(2)各項目の測定風景

写真5. 各項目の測定風景

7. アンケート集計結果

7-1. 来場者用アンケート

記入枚数495枚

(1)企画に参加してよかった点、改善点(一部抜粋)

  • 自分の身体のことがよくわかった。
  • 有酸素運動についての知識が身についた。
  • 血管年齢や骨密度など、会社で実施する健康診断で行わない項目の計測ができた。それらに関する知識も増えた。
  • 流れもスムーズで、対応もよかった。
  • 血管年齢がはじめて測定できてよかった。
  • 生活習慣病についての資料をいただけたので、知識を増やすことができた。
  • 毎年参加しているため、毎年の変化が確認できてよい。
  • 身体の組成について、タンパク質が少ないこと、むくみがやや高いことなどを知ることができて勉強になった。
  • 自分の身体を知る大切さを学んだ。
  • 健康を考える機会となった。
  • 筋肉量、脂肪量が視覚的に分かり易く表示されているので、勉強になった。
  • 血圧、InBody、骨密度などの順番がわかりづらかった。
  • 食事指導も同時に受けたい。
  • 靴を入れる袋が小さかった。靴を置くスペースを作ってはどうか。
  • 血圧測定もスタッフにやってもらいたい。自分ではやりづらい。
  • 無料で身体のことがいろいろと分かる。

(2)学生の対応について(一部抜粋)

  • 気持ちよく対応していただきよかった。
  • みなさん、親切で明るく対応してくださって嬉しかった。
  • 大変丁寧で感じがよく、素晴らしい若者たちであった。
  • 真面目で礼儀正しい印象をうけた。
  • 清潔で丁寧だった。
  • 待ち時間があっても学生さんの対応が良かったため、気にならなかった。来年も楽しみにしている。
  • 学生たちが周りを見ながらよく動いていた。
  • 質問への対応、受け答えも素晴らしかった。
  • 笑顔が素敵で、好感がもてた。
  • 丁寧な言葉づかいの学生と、そうでない学生がいた。

(3)今後受けてみたい項目(一部抜粋)

  • 計測後に、自分に合った運動のレクチャーも受けてみたい。
  • 歯の健康状態
  • 体内年齢
  • 身体の各部位の体温測定(冷え性であるため)
  • MRI
  • 栄養相談
  • 血液検査

(4)待ち時間

  • 長い(62%)
  • 普通(12%)
  • 短い(26%)

(5)全体の感想、質問など(一部抜粋)

  • この測定を機に、健康のために運動したいと思った。
  • 初めて参加したが、来てよかった。来年も来ます。
  • 非常に素晴らしい企画で、今後も地域のために大いに取り組んでもらいたい。
  • 毎年測定させていただいているが、身体計測と食生活の改善とが結びつかない。同時に指導を受けたい。
  • もう少し待ち時間が少なくなるような工夫が必要だと感じた。
  • 昨年の骨密度の結果よりも、10歳分も改善することができた。ジョギングをするようにしたり、ビタミンDを摂取するよう心がけたことが良かったと思う。
  • 今後もずっと続けていただきたい企画だ。
  • 来年に向けて筋力をアップしたい。
  • 1つの企画でこれほど内容が濃いものは他にないと思うので、今後も続けてほしい。

7-2. 学生用目標達成度アンケート

記入枚数35枚

(1)個人目標(一部抜粋)

  • 事前学習で身につけた知識を、来場者に分かり易く伝える努力をする。
  • ご来場いただいたお客様に、できるだけわかりやすく説明できるよう全力を尽くす。
  • お客様が質問しやすい雰囲気をつくる。また、質問してくださった内容について全力で答える。
  • 大学4年間で学んだ知識、および経験を活かして、一般の方々に分かり易く説明する。
  • ご自身の身体を知ってもらい、今後の生活を見直すきっかけをつくることができるよう、個別相談を行う。
  • 会場全体をよく見て、お客様はもちろん運営スタッフ(学生)との連携を意識し、1人1人が仕事をしやすいように統率をとる。
  • 2年連続で参加するため、昨年の反省を活かす。昨年はマニュアルに沿った結果説明しかできなかったため、今年はお客様に合わせて臨機応変に対応できる技術を身につける。
  • 用意した媒体をうまく利用し、より理解を深めてお帰りいただけるよう努める。

(2)個人目標の達成度と反省、および感想(一部抜粋)

  • 事前学習(勉強会)に加えて個別相談の練習を何度も行ってきたため、お客様の質問に落ち着いて対応することができた。
  • 大学で勉強してきた範囲の知識で、お客様の疑問点に対してうまく答えることができた。
  • 昨年に加えて、今年も個別相談ブースに入ることで経験が増え、マニュアル通りではないオリジナルの結果説明、相談対応ができた。
  • 「来年も来ます」というお言葉をお客様からいただくことができ、嬉しかったしやりがいを感じた。
  • 実際に管理栄養士として働くことになったら、このような個別相談を行う機会が増えるので、大学祭という機会に少しでも体験できてよかった。
  • 専門的な知識を、事前に用意したイラスト資料を用いて分かり易く説明することができた。
  • 日曜日は300人以上のお客様が来場されたため、スタッフ不足だった。しかし、その状況においても協力しあうことで、トラブルなく終えることができた。
  • 昨年参加した経験を活かし、自分の担当業務以外にも周りを見て、積極的にスムーズに仕事をすることができた。
  • 先輩方の対応が素晴らしく、とても勉強になった。来年は私も先輩方のようにできるようになりたい。
  • 緊張から早口になり、用意した資料を思うように使用できなかった。
  • 結果説明では、お客様の話を聞くあまり、時間が長引きすぎてしまった。適切な時間で話を切り上げるスキルも必要だと感じた。
  • 事前学習に参加できなかったこともあり、血管年齢について勉強不足で臨んだ。そのためお客様の質問に満足な返答をすることができなかった。反省した。

8. 総括

来場者へのアンケート(自由記述)より、『自分の身体状態、健康状態を知り改善をするきっかけとなった。』という意見が多く解答された。来場者の多くを葛飾区民が占める本企画は、地域住民の健康維持、増進、改善のための動機付け支援として機能していると考えることができるため、企画の目的は達成できたと考えられる。また、アンケート結果より「自分の身体状態に適した運動を知りたい」「運動指導もセットで体験したい」という意見が多く見受けられた。運動や生理学の知識は管理栄養士に必須な項目であるため、来年度以降は運動に関する資料や媒体の作成も行うとより有意義な企画となると考えられる。待ち時間に関して、「長い」が最も多い(62%)結果となった。InBodyの測定時間が長いため、簡易に解決することは難しいが、待ち時間に栄養教育ができるような資料、媒体をより多く準備することで解決に繋がると考えられる。

学生の目標達成度アンケートより、2年連続で参加している学生は「昨年の経験・反省を活かし、今年は昨年より一歩発展した成果をあげたい」という目標を掲げている学生が多く見られた。複数年参加している学生にはより高い教育効果が得られると考えられる。また、授業や事前学習などの座学で身につけた知識を、測定結果説明(個別相談ブース)によって来場者に理解をしていただける工夫を凝らす過程は、アクティブラーニングとして学生達への高い教育効果に繋がったと考えられる。

写真6. 平成27年度 集合写真