協働事業「ふれあい共食会事業」-和食のチカラで健康長寿-

1. 目的

東京聖栄大学とNPO法人中・西会との『連携・協力に関する協定書』に基づき、高齢期の方の「食」の改善を図ることを目的とする。

高齢期の栄養障害は、日常の食生活のあり方に大きく左右される。今年度は、健康寿命の延伸を目指し、高齢者が取り組みやすい「和食」の良さを改めて見直し、作り置きのできる「常備菜」を
飽きないで食べるコツを学習することを目標とした。

  1. 和食について(スライド,講話)
  2. 簡単!リメイクいつもの野菜で常備菜(調理法説明(スライド&参考レシピ配布)実技&試食)

2. 本テーマのねらい

  1. ユネスコ無形文化遺産である「和食」の4つの特徴について学ぶ
  2. 「和食の歴史」-奈良時代から現代までの時代の移り変わりと「食」の変化を学ぶ-
  3. 日本の季節と食材について学ぶ
  4. 日本の行事食について学ぶ
  5. 郷土料理(お雑煮)-お正月に食べるお雑煮にも地域によって違いがあることを学ぶ-
  6. 和食のマナー~お箸の持ち方・使い方,魚の食べ方,食卓に並べる位置は?を再確認する~
  7. 「いただきます」「もったいない」の言葉の意味を理解する
  8. 「発酵食品」の良さを理解し、より良い利用の仕方を学ぶ
  9. 和食の効果について、理想的な献立「一汁三菜」から栄養バランス食を理解する
  10. 「リメイク」常備菜とは、どのような料理なのかを目と舌で学ぶ

3. 学生と共に実施する意義

将来、食育に携わる立場となる学生にとって、高齢期の食育にアプローチし、事前準備のために時間を費やし、指導案を考え、それを基に講義録や媒体作成、レシピ考案,試作を繰り返し、間違いの許されない現場を体験できることは、
管理栄養士養成の視点から有益であると考える。

学生による食育事業終了後には、参加者からの評価や応援メッセージがあり、管理栄養士の仕事に対する意欲や姿勢を高め、今までに味わったことのない達成感を与えてくれる機会となり、教育効果が期待できると考える。

また、東京聖栄大学は、「食と健康」に関する情報の発信源として、学園祭においても栄養改善のコーナーや展示をすることで、企画・計画・実施・評価まで全てに関わる一連の流れを確認することができる。

4. 実施日

  1. 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会・交流会 事前打合せ及びNPO法人事業参加
    平成29年5月27日(土) 10時~14時
  2. 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会 講演・実技(試食)
    平成29年9月23日(日) 10時~12時 交流会12時~14時

5. 実施場所

東京都葛飾区四つ木1-6-5(旧西渋江小学校)

6. 対象者

  1. 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会・交流会 事前打合せ及びNPO法人事業参加
    一般区民 50名(年齢層 70歳代~90歳代)
  2. 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会 講演・実技(試食)
    一般区民 56名(年齢層 70歳代~90歳代)

7.実施責任者

  • 管理栄養学科 鈴木 三枝(教授),風見 公子(准教授)
  • 公衆栄養学研究室生,給食経営管理第2研究室生 計14名

8.協働事業者

  • 葛飾区福祉部高齢者支援課
  • NPO法人 中・西会

9.実施した内容

(1) 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会・交流会 事前打合せ及びNPO法人事業参加

日  時
平成29年5月27日(土) 10時~14時
参加者
管理栄養学科 鈴木三枝 教授,風見公子 准教授
公衆栄養学研究室生5名,給食経営管理第2研究室生7名
地域高齢者 50名(参加者の9割が女性である)
内  容
9月23日に実施する講演会(講演・実技(試食))の対象者である地域の高齢者についてよく知る。また、「食」に関する事で何を知りたがっているかを話し合う。

  1. 家庭で料理を作るのが面倒になった。
  2. 惣菜や弁当を買う。
  3. 夫婦二人暮らしなので、調理したものが食べきれず廃棄する量が多くなる。
  4. 食事は、和食が多い。
  5. 野菜を買ってきても使いきれずに廃棄する。特に、大根,キャベツなど大きい物は廃棄が多い。

以上のような意見を大学に持ち帰り、地域の高齢者が毎日バランスの摂れた食事ができるためには、どんな話をし、アイディアを提供したらよいかついて検討した。

(2) 協働事業「ふれあい共食会事業」講演会 講演・実技(試食)

日  時
平成29年9月23日(日) 10時~12時 交流会12時~14時
参加者
管理栄養学科 鈴木三枝 教授,風見公子 准教授
公衆栄養学研究室生5名,給食経営管理第2研究室生7名
地域高齢者 56名(参加者の9割が女性である)

内  容(画像はクリックで拡大します)

①10:00~10:10 挨拶/本日のスケジュール紹介

教員による本日のスケジュール紹介と学生の自己紹介を行いました。

②10:10~11:00 講話「和食について」

学生による 講話「和食について」を真剣に聞いて頂いています。
(1)から(9)までのスライドを用意しました。

(1)ユネスコ無形文化遺産である「和食」の4つの特徴について学ぶ

(2)「和食の歴史」-奈良時代から現代までの時代の移り変わりと「食」の変化を学ぶ-

  1. 食事作法の確立
    平安時代に完成され、後の和食の料理作法にも影響を及ぼしました。
  2. 盛饌
    見た目の美しさを大切にする、日本料理の性格が貴族生活の中から生まれました。
  3. 精進料理
    仏教思想を基本として生まれた料理。すべて植物性の材料を使っているのが特徴。
  4. 本膳料理
    式を重んじた非常に厳しい料理作法がさだめられており、食卓配膳の基本となっています。
  5. 茶懐石料理
    茶会の席で出されます。濃茶をおいしくいただくために食する料理のこと。
  6. 袱紗料理
    味覚を楽しむ実質本位のもの。
  7. 会席料理
    お酒を楽しむための料理です。
  8. 割烹料理
    高級料理を総称する言葉で、「割」は包丁で切ること、「烹」は火を使って煮る調理法のことを意味しています。

(3) 日本の季節と食材について学ぶ

(4) 日本の行事食について学ぶ

春:春の訪れや豊年を祝う行事や祭りがあります。

2月
節分
3月
桃の節句
4月
花見

夏:田植えが最大の行事。その労をねぎらう行事や豊年を祝う行事や祭りが多いです。

5月
端午の節句
6月
おさなぶり(早苗饗)
7月
七夕

秋:お月見や様々な農作物が収穫の時期を迎える行事が続きます。

8月
豆名月
9月
十五夜
10月
刈り上げ

冬:年越しや新年を祝う行事がさまざま続きます。

11月
端午の節句
12月
年越し
1月
正月

(5) 郷土料理(お雑煮)-お正月に食べるお雑煮にも地域によって違いがあることを学ぶ-

(6) 和食のマナー―お箸の持ち方・使い方、魚の食べ方、食卓に並べる位置は?を再確認する―

(7) 「いただきます」「もったいない」の言葉の意味を理解します

(8) 「発酵食品」の良さを理解し、より良い利用の仕方を学ぶ

(9) 和食の効果について、理想的な献立「一汁三菜」から栄養バランス食を理解する

(10)11:10~11:30 「リメイク」常備菜レシピ紹介

(11)11:30~12:00 試食・質疑応答

学生が調理した ①キャベツとコーンのおかか醤油和え と ②人参たっぷりつくね を食べていただきました。「美味しいね。」の声がたくさん届きました。
質疑応答後は、高齢者の方々と会食を行い、協働事業「ふれあい共食会事業」は終了となりました。