産学連携による幼稚園における食育

<一般社団法人 全国栄養士養成施設協会 後援>

1.目的

子どものころに身に付いた食習慣を大人になって改めることは困難であり、子どものうちに健全な食生活を確立することは、成長段階にある子どもが、必要な栄養を摂取し健やかな体を作り、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となる。人格形成期にある子どもの食育は重要であるが、依然として朝食の欠食がみられ、一人で食べることも少なくない。生活時間の多様化とも相まって家族や友人等と一緒に楽しく食卓を囲む機会が減少傾向にあるが、食育の場としてもこうした機会を確保することは重要である。そのため、生活習慣と食習慣について、調査研究並びに食育を実施する。

2.対象者

東京聖栄大学附属わたなべ幼稚園児および園児の保護者

3.実施者

東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 准教授 鈴木三枝
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 講師 佐川敦子
東京聖栄大学附属わたなべ幼稚園 園長 萩原和代 他教員
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科   4年生

4.実施期間

平成25年10月~平成26年2月
アンケート調査期間は、東京聖栄大学倫理委員会承認後~平成26年2月

5.内容

わたなべ幼稚園児保護者に対し、実施する「食育事業」の内容を通知し理解を求めると共に、保護者に対し家庭内での生活習慣や食生活の状況について、アンケート調査を実施する。

実施プログラムについては、体験学習も含めて主食の大切さを学ぶこととし、代表食品として、米、めん類、パン等の穀類について、取り上げる。

また、東京聖栄大学学生が考案した「稲庭まごうどん」を使ったレシピを給食に取り入れ、残菜調査を実施する。

6.実施方法

(1)
園児への「食育教室」(5歳児に実施)
食生活の中での主食の大切さを20分程度のパフォーマンスで指導する。
(2)
幼稚園給食食材に「稲庭まごうどん」を使った献立を実施する。(給食において実施)
「稲庭まごうどんを使ったレシピ開発」におけるレシピを幼児給食に用い、幼児の摂食状況を把握する。残菜調査を実施し、幼児食としての嗜好調査を行う。
(3)
体験学習(5歳時に実施する)
テーマ「手作りうどんに挑戦しよう」、園児にうどんの出来るまでを体験させる。
出来上がったうどんを試食する。
(4)
「給食だより」の作成(各保護者あて配布)
保護者に食習慣の大切さを学んで頂くと共に、家庭食での主食の在り方について掲載する。
(5)
アンケート調査:「園児の生活習慣及び食習慣調査」
基本調査:性別,年代,職業,出生子(性別・身長・体重)
生活習慣:朝食・夕食の喫食時間,起床・就寝時間
食習慣:朝食・夕食・間食の有無,朝食・夕食・間食の種類,
(各保護者あて配布し、回収用の封筒(切手貼)を同封する)生活習慣調査は、本校の実情に合わせ必要項目を設定し、調査票の記入については、保護者に依頼する。
スケジュール表
日時 内容
10月8日(火) 食育:主食の大切さ(約20分間)
「エネルギー体操」
まごうどんを使った給食(1)
主食:ロールパン
主菜:稲庭まごうどん入りミートボール
副菜:ハム入りフレンチサラダ
その他:フルーツ
飲物:牛乳
10月9日(水) まごうどんを使った給食(2)
主食:ロールパン
主菜:稲庭まごうどん入りマーボー豆腐
副菜:ナムル
その他:フルーツ
飲物:牛乳
10月10日(木) 体験学習:手作りうどんのに挑戦しよう
※体験は5歳児(年長)クラスのみ)
手作りうどん給食
手作りうどんを全員で試食

7.実施内容報告

(1)
園児への「食育教室」(5歳児に実施)
テーマ:「主食の大切さ‐エネルギー体操-」
対象者:5歳児 約100名時間:約20分

資料1. 食育 指導案

写真1. 食育「主食の大切さ」エネルギー体操

(2)
本学学生考案レシピ(稲庭まごうどんを使ったメニュー)の給食提供

考案メニュー

写真2.考案メニュー(1日目)

1日目
主食:ロールパン
主菜:稲庭まごうどん入りミートボール
副菜:ハムフレンチサラダ
フルーツ,牛乳

写真2.考案メニュー(2日目)

2日目
主食:ごはん
主菜:稲庭まごうどん入り麻婆豆腐
副菜:ナムル(もやし,ほうれん草,人参入り)
フルーツ,牛乳

表1.残菜調査表
月/日 献立名 出来上がり質量 残菜
重量
摂取
重量
出席
園児数
園児一人当たり摂取量
10月8日 稲庭まごうどん入りミートボール 5歳児 8,722g 0g 8,772g 102名 86g
4歳児 8,944g 60g 8,944g 104名 85g
3歳児 7,244g 382.5g 6,844.2g 84名 77g
24,940g 442.5g 残菜率2%
10月9日 稲庭まごうどん入りマーボー豆腐 5歳児 14,550g 5g 14,545g 97名 150g
4歳児 10,500g 608g 9,892g 105名 94g
3歳児 6,480g 243g 6,237g 81名 77g
31,530g 856g 残菜率3%

写真.4 給食にて提供 風景

(3)
体験学習
テーマ「手作りうどんに挑戦しよう」、園児にうどんの出来るまでを体験させる。
出来上がったうどんを試食する。
対象:5歳児 約100名

材料(5人分)

小麦粉(中力粉)500g
水 225g~240g
食塩 25g

作り方

写真5 体験学習:手作りうどんに挑戦しよう

写真6 手作りうどん給食 調理室風景

写真7 手作りうどん給食 試食風景

(4)
保護者宛に体験学習(手作りうどん)および特別給食(稲庭まごうどんを使ったメニュー)実施の内容を記載した食育通信を作成し、配布

資料2. 保護者宛 食育通信

(5)
園児の食事内容アンケート調査 保護者宛配布 311名

資料3. 保護者宛 アンケート調査

アンケート集計結果報告

配布枚数:311枚 回収枚数:104枚 回収率:33.4%

1.保護者の属性

(1).性別

(2).年齢

(3).職業

2.園児の属性

(1).第何子か

(2).性別

(3).身長・体重の把握

身長 平均106.11cm
体重 平均 17.52kg

3.1週間の朝食・夕食・間食の摂食回数

4.1週間の主食内容および摂食回数

(1).朝食

1週間の摂食回数

(2).夕食

1週間の摂食回数

(2).間食

1週間の摂食回数

※その他:グミ、ヨーグルト、バナナなど

5.朝食時間および起床時間

6.夕食時間および就寝時間

園児の1週間における食事の摂食状況は、朝食の毎日摂食が95%、夕食の毎日摂食が97%であった。間食の毎日摂食は73%であり、5回摂食/週が16%であった。

朝食の主食内容は、パン類の毎日摂食が25%で高く、次いでごはんが12.5%であった。めん類の1~2回摂食/週が6名で、摂食頻度はパンやご飯と比較して低かった。

夕食の主食内容は、朝食の主食内容と異なり、ご飯の毎日摂食が、パン類およびめん類と比較して高かった。

間食の内容は、あめ類およびスナック菓子の毎日摂食が約6%であった。スナック菓子、煎餅の0回摂食/週は約13%であった。

朝食時間は、午前7時~8時の時間帯が全体の約84%であった。

夕食時間は、午後6時~7時の時間帯が全体の約80%、就寝時間は午後8時30分~9時の時間帯で全体の約80%であった。就寝時間が午後10時以降は約4%であった。

アンケート記載者の保護者性別は、女性(母親)が約94%であり、職業の内容は、主婦が約62%、主婦以外の会社員、パートなどが約40%であった。

総括

まごうどんを使った給食の残菜率は約2~3%であり、手作りうどん給食の残菜率は約0%で低かった。このことから主食の大切さの食育の効果および自分でうどんを作成する体験がいきたものと推察された。